「今までで一番楽しい1週間」
大会を振り返り、小田選手は「今までで一番楽しい1週間。毎日楽しさが更新されていって、最後に本当に最高の日だなと思える日を迎えられた」と笑顔を見せた。続けて「地元でこういう機会があって、それを達成できたのがすごく嬉しい」と語った。
この大会は「今年の集大成」と位置づけ、去年あたりから照準を合わせてきたという。「昨日のために、ほとんどの大会を勝つと心に決めてやってきた。愛知に帰ってきて、多くの人に見てもらえたら、という気持ちでずっとやっていた」。
決勝前は緊張もあり、「感覚的には力んでいる感じがあった」と明かしつつ、「待ちに待った舞台で、ゾクゾクする感覚もあった」と振り返った。
涙の理由は「何よりも大きかった思い」
決勝後に見せた涙について問われると、「ああいう場で泣くのは1、2回しかない。泣くとは全然思っていなかった」と前置きし、「色々込み上げてきた。そこにかけてきた思いは、僕の中で何よりも大きかった」と説明した。勝利を目指したうえで「自分の色をどれだけ出せるか」という勝負をしていたといい、「嬉し涙だったと思う」と話した。
観客に伝えたかったことについては、「自分を大切にして、これだというもので生きていくことの素晴らしさ。それが一番かっこいいと思う」と答えた。
チケット販売の反響、「イメージ通りの景色」
地元開催の大歓声については、「ずっと見たかった景色だった」と語った。夏にチケットが販売された当初は「どれくらい認知されているのかわからなかった」というが、先行販売から1、2日で売れていくと聞き、「これはやばいことになるなと思った」。それ以来、東山のコートの雰囲気を思い描きながら取り組んできたといい、「イメージしていた景色の中に自分が入った感じで試合ができた」と話した。
「やったことがあるから分かるすごさ」へ
パラスポーツの今後について、小田選手は独自の視点を示した。「サッカーや野球、バスケは、やったことがある人が見るからすごさが伝わる。でも車いすテニスは、やったことがない人がほとんど見ることになる」と指摘。「同じ拍手でも、難しさを知っている拍手なのか、知らないけれどすごいという拍手なのかは全然違う」とし、道具や環境が壁になっている現状を「破っていきたい」と力を込めた。
健常者の子どもたちからの憧れについては、「車いすに乗っている選手に普通の子が憧れることは、これまであまりなかった」としたうえで、「足が悪くない少年少女が見てテニスをやりたいと思ってもらえるか。それが枠を超えているかどうかだと思う。誰かがその領域まで行くべきだと思っていたし、それなら自分がなりたかった」と語った。
一方、自身に憧れて競技を始める人がいることには「まだ自分はそっち側にいる実感はない。どちらかというと目指す側」と謙虚な姿勢も見せた。
「1段階上がった」 30年スパンの視点
会見では「1段階上がった感覚がある」とも口にした。それが自身のことか、競技環境のことかと問われると「両方」と回答。「30年くらいのスパンで考えているが、思い描いていた通りに進んできている」と手応えを示した。
愛知・名古屋に残したいレガシーについては、「国際レベルの大会をやりたい」と明言。「ヨーロッパの選手にも日本に来たい選手がいっぱいいる。日本がどれだけ盛り上がっているのかをよく聞かれる」と海外の関心の高さを紹介し、「いずれそうなると思う」と期待を込めた。
来年の目標は「年間無敗」
今後については「テニスでは変わらず1位を続け、より高いレベルを求めていく」とし、来季は今年逃した年間グランドスラムへの「リベンジの1年」と位置づけた。「今年も無敗でと言っていたが難しかった。来年は1年間無敗を掲げて頑張りたい」と、さらなる高みを見据えた。
Photo by Junko Sato / SportsPressJP


