2025年12月19日、国立代々木競技場第一体育館で、ミラノ・コルティナ五輪の最終選考会を兼ねた全日本フィギュアスケート選手権が開幕した。男子ショートプログラムでは、北京五輪銀メダリストの鍵山優真が104.23点を記録し、首位発進を決めた。
五輪への切符を懸けた張り詰めた空気の中、鍵山は完成度の高い演技で観客を引き込んだ。演技後の会見では、長年課題としてきた全日本選手権でのSPについて、「練習通り、自分の質で全エレメントをこなせた」と語り、手応えをにじませた。トリプルアクセルではわずかな減点があったものの、他の要素で確実に加点を重ね、自身の想定を上回る得点となった。「102点を想定していたが、それを大きく超えた。素直に嬉しい」と振り返った。
4年前の北京五輪選考時との違いを問われると、当時は五輪出場そのものが最大の目標だったが、今は追われる立場になったと冷静に分析する。一方で、目指す地点は変わらない。今季は五輪出場を前提とし、その先で結果を残すことを最大の目標に据えており、今回の演技を「自分の壁を越えるための通過点」と位置づけた。その言葉通り、演技全体には落ち着きと余裕が感じられた。
この日の演技には特別な背景もあった。客席にはSPの楽曲をカバーしたマーシンと角野隼斗の姿があり、「最大限のリスペクトを持ちながら、自分らしさを表現したい」と、その存在を力に変えてリンクに立った。ステップシークエンスでは、作り込んだ表情ではなく自然な感情の流れを大切にしたと明かし、「表現の幅が一つ広がった。トレーニングの成果を感じる」と語った。
首位で折り返したものの、慢心はない。フリースケーティングでは、コンビネーションジャンプを後半に2本組み込む高難度構成に変更し、さらなる得点の上積みを狙う。「自信を一つずつ積み重ねて、ここからさらに頑張りたい」と決意を示した。鍵山優真の滑りは、長年培ってきた確かな基礎を土台に、新たな表現力を重ね合わせていく。
Photo:Akito.Mizutani/SportsPressJP
取材:TomoyukiNishikawa/SportsPressJP
0コメント