8月13日、有明アリーナにてバスケットボール女子日本代表の国際強化試合「三井不動産カップ2026(東京大会)」ゲーム1が行われ、日本代表が77-59で韓国代表を破り、快勝を飾った。9月にドイツ・ベルリンで開幕する「FIBA 女子バスケットボールワールドカップ2026」に向け、最終登録メンバー12枠を懸けた熾烈な生き残りサバイバルでもある今大会。その初陣は、期待と課題が鮮明に浮かび上がる激しい一戦となった。
電光石火の14-0ラン!出出しに爆発した日本の「スピード&アグレッシブ」
日本は、田中こころ、林咲希、東藤なな子、髙田真希、渡嘉敷来夢の5人をスターティングファイブに起用。試合開始直後から、圧倒的な攻守の連動で主導権を握った。内外を織り交ぜた猛攻で、開始わずか4分間で14-0という驚異的なランを見せる好発進を果たす。
渡嘉敷のバスケットカウントや、20歳のホープ・田中の思い切りの良い3ポイントシュートが決まり、第1クォーターを25-8と韓国を大きく突き放して終えた。
指揮官を務めるコーリー・ゲインズヘッドコーチ(HC)は、この怒涛の立ち上がりを「第1クォーターの試合の出出しはものすごく良かったと思います。選手たちの勢い、そのアグレッシブさ、ペースは我々が求めていることを全て尽くしてくれた」と高く評価した。続く第2クォーター、韓国に連続3ポイントシュートを許すなど反撃に遭うも、司令塔の町田瑠唯をコートに投入し、落ち着いたゲームメイクで応戦。45-30と2ケタのセーフティリードを維持したまま、前半を折り返した。
第3クォーターの停滞と若き才能の奮闘。「ワールドカップへの強い想い」
しかし、ハーフタイムを挟んだ第3クォーター、流れが一変する。ディフェンスのギアを一段上げてきた韓国のプレッシャーの前に、日本はオフェンスの歯車が狂い、12-18とこの10分間をリードされる展開となった。ゲインズHCは「我々はこれからの課題は3クォーターの入り方。ペースとディフェンスの強度も上げないといけない」とこの時間帯の課題を口にし、久々の実戦となった町田も「ゲーム感覚を戻すのにちょっと時間がかかって、前半はちょっと重い展開になってしまった」と振り返った。また、19歳の期待の星・後藤音羽は「第3クォーターで日本の『ペース&スペース』っていうバスケットが体現できなくなってしまった」と、チームの持ち味が消えてしまった時間帯を悔しそうに振り返った。
それでも、この苦しい時間帯に文字通り身体を張ってチームを支えたのが、最終選考突破を狙う若手たちだった。ドライブからのアタックで活路を見出した後藤は、8得点4リバウンドに加え、チームトップタイとなる3本のオフェンスリバウンドを泥臭くもぎ取った。
後藤は試合後、チームトップタイの3本のオフェンスリバウンドについて「アップしてハイラインプレッシャーをかけるのを意識していたので、その意識がオフェンスリバウンドにも繋がった」と説明。苦しい時間帯の心境については「ワールドカップの最終選考に残りたいっていう気持ちが凄く強いので、第2クォーター、第3クォーターは自身の強みであるドライブを生かしてペイントアタックすること、アシストや得点に繋げられるように意識してプレイしていた」と、あふれんばかりの闘志を明かした。
海外帰りの大黒柱・馬瓜ステファニーが試合を決定づける
57-48の9点リードで迎えた運命の最終クォーター、試合を決定づけたのは馬瓜ステファニーだった。持ち前のアグレッシブなドライブで韓国のペイントエリアを切り裂き、ファウルを誘って確実にフリースローを沈めていく。馬瓜のこのクォーターでの大爆発が決定打となり、日本は再び流れを引き戻して韓国を突き放した。最後は、今野紀花がポイントガードとして冷静にゲームを締めくくり、77-59で快勝を収めた。
馬瓜はチーム最多の13得点を記録したものの、試合後は「満足行く結果ではないんですけど、アグレッシブに行くところはちゃんと見せられたかな」と安堵と悔しさが入り混じった表情を見せた。自身の役割について、「ペイントアタックっていうのでフリースローをもらうっていうのは1番の自分の仕事なので、そこはしっかりとやりつつ、ディフェンスの部分でどれだけみんなのエナジーを上げられるかだったと思う」と力強く語った。
昨季スペイン(Meins Avenida)でプレイし、国際舞台の激しさを肌で知る馬瓜。その海外経験の恩恵について問われると、「相手との当たる(コンタクトする)のを嫌がらなかったりだとか、そういったところは自分が海外で学んできたところ。外からのシュートに躊躇しないっていうのは凄く大事なところだと思うので、そこは自信をつけてきたかな」と語る一方で、本番を見据えた高い視座も忘れていない。
「相手が大きくても、ペイントアタックは結局しなきゃいけないもの。自分がまず行くっていうのが大事。でもそこがペイントアタックファーストになってしまって、そのイノシシみたいにどんどんどんどん突っ込んでいっちゃったら、それはまた良くないことなので、他のセレクションもどんどん決めていけるようにしたい」と、さらなる進化への誓いを立てた。
快勝の裏に残る課題――「3ポイント試投数」の不足
GAME1を18点差の快勝で終えた日本代表だが、ワールドカップで世界の強豪(スペイン、ドイツ、マリ)と渡り合うためには、クリアしなければならない絶対的な課題が残った。それが「3ポイントシュートの試投数(アテンプト)」だ。
この日の3ポイントアテンプトは21本に留まり、林咲希が3本沈めて9得点を挙げたものの、チーム全体のボリュームとしては指揮官の求める「スタンダード」を大きく下回った。ゲインズHCは「間違いなくもっと3ポイントを打たなきゃいけないと思います。このチームの平均だと、目安は大体35、36本なので、間違いなく21本は足りない。もっと3ポイントを打つことは、明日の目標です」と、GAME2に向けて早くも改善点を明確にした。
町田瑠唯もまた、「3ポイントのアテンプトのところがちょっと少なかったので、そこを作り切れなかった。明日はもう1回40分間、日本のペースを作り切れるようにやっていきたい」と、さらなるハイペースなゲーム展開への修正を誓った。
負傷により都野七海がコートに立てないというアクシデントを抱えながらも、一歩ずつ世界基準への階段を上る女子日本代表。ドイツの地で「銀メダル以上の輝き」を取り戻すため、彼女たちのアグレッシブな挑戦は明日、そして本番へと続いていく。
Photo by Junko Sato / SportsPressJP
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