「自分もいるんだぞと示したかった」山本草太

2025年12月20日、国立代々木競技場で行われた全日本フィギュアスケート選手権。男子シングルで山本草太はショートプログラム82.21点、フリー156.73点、合計238.94点で総合5位となった。五輪代表争いの只中で迎えた全日本は、結果以上に、その言葉が強く印象に残る大会となった。

演技後、山本は今季を「本当に今シーズン怪我があり、本当に苦しい日々が多かった」と振り返った。満足に練習を積めない時期が続く中でも、「この全日本まではすごくいい練習を積むことができていた」と語り、「その練習通りのことを出したい」という思いで本番に臨んでいた。しかし、ジャンプのミスが重なり、思い描いた演技を実現することはできなかった。


シーズン全体を通して感じた課題については、「ちょっといい練習をする期間がやはりまだまだ足りなかった」と率直に語る。「シーズンを通して練習して、試合を終えて課題を感じ取ることが今シーズンは少なかった」とし、「健康で、いい練習、いい試合をシーズン通して積み重ねることがいかに大事かを改めて感じた」と言葉を重ねた。


周囲からの気負いやプレッシャーについて問われると、山本は少し考えた上で、静かに言葉を選んだ。「正直、今シーズンを通しての体の調子や結果を見ても、期待されている感覚はあまりなかった」。その現実を受け止めつつ、「結果を出せていないので、期待が薄れてしまっている部分は肌で感じていた」と明かす。一方で、「それでも、自分もいるんだぞというのは示したい気持ちはあった」と、競技者としての意地をにじませた。


今後については、「まずは今シーズンをやり切ってから考えようと思っていた」と前置きし、「この全日本で、すごく悔しいシーズン、悔しい試合になった」と語った。現時点では「まだ気持ちの整理はできていない」としながらも、「このまま終わりたくないという気持ちはある」と、言葉に迷いはなかった。


フリー演技の中盤では、過去の試合での苦い記憶がよぎったという。「中国杯でも前半がうまくいかなくて、あの場面でこの先を考えてしまう自分を感じた試合だった」。今回も一瞬、不安が頭をよぎったが、「今日は最後まで諦めないという気持ちはあった」と振り返る。「難しいスタートだったけど、最後まで悔しさを出し切ろうとした結果だった」と、演技を総括した。


苦しい状況の中でも支え続けた周囲への感謝も忘れなかった。「本当に変わらず応援してくださっている方がたくさんいる。先生やトレーナー、サポートしてくださった方々には感謝しかない」と語り、演技後には指導者から「まずは健康にここまで来られたことだけでもありがたいことだった。良かったよ」と声をかけられたという。


結果は総合5位。しかし、山本は最後に「また整理して、やっていけたらと思っている」と語り、静かにリンクを後にした。その言葉には、かつて大怪我から一回転ジャンプで再出発した競技者としての、簡単には揺らがない意志がにじんでいた。


写真:Akito.Mizutani/SportsPressJP

text by TLM / SportsPressJP