「ウォータープルーフのマスカラで良かった」三原舞依

2025年12月21日、代々木第一体育館で開催された全日本選手権のフリー演技を終えた三原舞依は、万感の想いをインタビューで語った。


最初の大歓声で「会場の熱が伝わったのでは?」と問われると、「温かい空気感の中で、すごく私自身緊張していたんですけど、その緊張が吹っ飛んでいくぐらい幸せな思いに包まれながらスタートをすることができて、幸せものだなという言葉に尽きるかなと思います」と、ファンへの感謝を口にした。演技中から溢れ出た涙については、本人も驚くほどだった。「今思ったらウォータープルーフのマスカラで良かったなと思いながら、もう本当に前が見えなくなるくらい涙がすごくてびっくりしました」と、感極まった瞬間のエピソードを明かした。


技術面では、演技の締めくくりとなった3回転ループへの執念を語った。危ない踏み切りで2回転になりそうな場面だったが、「絶対跳ぶってグレアム先生と中野先生と約束してたので、なんとか最後まで耐えることができて良かったです」と、コーチとの約束が力になったと振り返った。リンクサイドに戻った三原を待っていたのは、18年間指導を受けてきた中野園子コーチの温かい言葉だった。コーチから「ありがとう」と言われ、自分からも「心からありがとうございます」と伝えたという。中野コーチからは「集中力、さすが」とも称えられた。また「演技直後に「ありがとう」の5文字をいただいたのは初めてだったんじゃないかなと思います。」と振り返った。


年明けの大会への出場については「まだ分からなくて、これから考えられたらいいかなと思っています」とするにとどめた。ただ、最後の全日本で見せた光景は一生の宝物になったという。滑っているときのお客様の表情や微笑み、最後のスピン中の拍手の音、お辞儀の瞬間に見えた景色を「すごく幸せな光景を、多分一生忘れることはない」と語った。SNSを通じて寄せられたファンの声も彼女の大きな支えとなったという。Xで「スーパーファイター」という言葉をもらったことに触れ、「私自身を作ってくださったのが、本当に応援してくださる皆様ですということをお伝えしたい」と深く感謝した。


全日本選手権という大舞台に立つまでの道のりは決して容易ではなく、練習でプログラムを滑りながら涙したり、体が思うように動かなかったりした時期もあった。しかし三原は、「その日々がなかったらやっぱりこうしてここに戻ってくることもできなかった」と述べ、難病を克服した過去を含め、これまでの辛い経験もすべてが今の自分に繋がっているという。この経験をこれからの人生に活かしていきたいとし、「まだまだ強くなれっていうことかなと思うので、これからのいろんなことを楽しみに、人生を過ごしていけたらいいと思ってます」と、涙の後の清々しい決意を述べた。三原は今季限りでの引退を表明しており、この日のフリーでは127.86点をマーク、合計190.63点のシーズンベストで11回目の全日本選手権を締めくくった。


取材:TomoyukiNishikawa / SportsPressJP

text by TLM / SportsPressJP