聖地・国立競技場のピッチに、鹿島学園が17年ぶりに帰ってくる 。準々決勝で興國を3-1で下した茨城の雄は、2008年度以来となるベスト4進出を決めた 。指揮官の鈴木雅人監督が発した「茨城に風が吹いている」という言葉は、単なる好調の示唆ではなく、2025年度の茨城県サッカー界を包み込む圧倒的な熱量を象徴している 。
昨季J1を制した鹿島アントラーズ、J1昇格を掴み取った水戸ホーリーホック、さらにはプレミアリーグを制した鹿島ユースやインカレ王者の筑波大と、県内の各カテゴリーが次々とタイトルを掌中に収めてきた 。この空前の躍進劇を目の当たりにしてきた選手たちにとって、残された最後のピースである「選手権制覇」を成し遂げることは、もはや抗えない使命となっている 。2年生FWの内海心太郎が「あとはもう俺らが取るしかないな」と語ったその言葉には、県内勢の後に続き、自分たちが茨城の冬を最高の形で完結させるという不退転の決意が宿っている 。
この追い風を背に受けるチームの核を成すのは、1年時にU-16全国大会を制し、1年前には「裏選手権」でも頂点に立った「日本一世代」の現3年生たちである 。彼らの歩みは決して順風満帆ではなく、インターハイでの早期敗退やプリンスリーグ関東1部からの降格といった苦い経験を糧にしてきた 。それでも「まだまだ、まだまだ」という飢えた精神を失わずに成長を遂げ、過去の栄光を「選手権とは別物」と切り捨てて、集大成となるこの大会で本物の日本一を掴み取ることに全てを懸けている 。その執念が、激戦区を勝ち抜く強固なメンタリティを形成した。
ピッチ上でその決意を体現しているのが、驚異的な勝負強さを見せる選手たちだ。右足のキックで猛威を振るうDF清水朔玖は、2回戦から3試合連続でPKを成功させ、興國戦では鮮やかな直接FKを叩き込むなど、その精度は国立の舞台で最大の武器になる 。また、3回戦の堀越戦で2ゴールを挙げた内海心太郎は、ライバルである鹿島ユースの吉田湊海らの活躍を刺激に変え、自分の名を全国に知らしめようと野心を燃やす 。セレクション落選などの挫折を乗り越えて日本代表の絶対的ストライカーへと登り詰めたOB上田綺世の存在も、選手たちにとって「やればできる」という何よりの説得力となり、チームの士気を極限まで高めている 。
次なる舞台は、宿敵・流通経済大柏との準決勝が待つ国立競技場である 。17年ぶりのベスト4進出という結果に満足する者は一人もおらず、チームが見据えるのは「茨城の風」を完結させる日本一の称号のみだ 。1月10日、黄金世代が培ってきた3年間の全てをぶつけ、彼らは茨城サッカーの歴史に新たな黄金の1ページを刻もうとしている。
取材:HiroshigeSuzuki / SprotsPressJP
text by TLM / SportsPressJP
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