楠瀬監督「使えるものは何でも使えと思って、なり振り構わなかった」

日テレ・東京ヴェルディベレーザの楠瀬直木監督が残した「使えるものは何でも使えと思って、なり振り構わなかった」という言葉の背景には、ホームの味の素フィールド西が丘を舞台にした激闘と、チームを鼓舞する指揮官の執念が存在していた。2026年4月18日に行われた2025/26 WEリーグ クラシエカップ準決勝第2戦は、第1戦を2対3で落としていたベレーザにとって、背水の陣だった。

サンフレッチェ広島レジーナは大会3連覇を狙う強敵であり、西が丘に多くのサポーターが駆けつけて強烈な後押しをした。その圧力に押された瞬間を、楠瀬監督は見逃さなかった。なんとしても選手たちを奮い立たせなければならないと感じた指揮官は、戦術や指示を越えた行動に。ベレーザの下部組織であるメニーナの時代から選手たちを長年見守り続けてくれている熱心な自チームのサポーターに対して、ホームの地で監督自らが直接声援を求めた。


試合後にその意図を問われた際に返ってきたのがこの言葉であり、監督としての体裁や見栄を気にしている余裕など一切なく、現場にあるあらゆる要素を味方につけなければ強敵を打ち破ることはできないという切迫した状況が生々しく表れていた。


指揮官のなり振り構わぬ行動と熱意は限界を迎えていた選手たちの心を確かに震わせ、第1戦のビハインドを跳ね返す3対1での逆転勝利へと繋がった。楠瀬監督が「魂こもっていた」と評した村松智子の気迫あふれる守備や、小林里歌子、樋渡百花らの果敢なゴールは、苦しい展開の中でも選手たちが決して諦めず、精神的な強さを発揮した証であった。


一方、敗れたサンフレッチェ広島レジーナの赤井秀一監督も、西が丘に駆けつけたサポーターの存在に触れた。第1戦のリードというアドバンテージを持って臨んだものの、早い時間帯での失点を跳ね返せず、チームの力不足を痛感したと悔しさをにじませた。アウェイ環境にもかかわらず期待を込めて応援してくれた多くのサポーターに対し、結果で応えられなかった申し訳なさを口にした。


取材:Tomoyuki Nishikawa / SportsPressJP 


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