今シーズンは悲願の優勝を遂げ、WEリーグMVPも手にした成宮唯。AFC女子アジアカップで代表にも呼ばれ、飛躍したシーズンだった。しかしアジアカップという国際舞台では、自身が思い描くような仕事ができなかったという。
「本当にアジアカップでは個人的には悔しい思いをして帰ってきた」
成宮は静かにそう答えた。代表では、引いた相手の守備ブロックを切り拓くピースを期待されていたが、見せ場を作れないまま帰国した。その悔しさをMVP受賞後も隠さなかった。
「そういう悔しさがあったからこそ、リーグの最後、本当に自分を奮い立たせるような経験でした」
国内では、その刃が確かに機能した。
アジアカップから帰国した成宮を待っていたのは、WEリーグの優勝争いだった。
「WEリーグではめちゃくちゃやってましたよね」という言葉を向けると、成宮は短く「はい」と答えた。ただその一言に、国内では確かに局面を打開する仕事を果たしたという、静かな自信が宿っていた。宮本監督から「唯が決めてこい」と送り出され、「ここぞ」という場面で、成宮の刃は何度も局面を切り拓いた。
涙の理由は、自分ではなかった。
表彰式で涙を見せた理由を問われると、意外な言葉が返ってきた。「三宅キャプテンなんかはずっと同じ思いで今シーズンもやってきたと思うので、その姿を見た時には涙が出てしまいました」 3年連続2位。その悔しさを誰よりも長く背負ってきたキャプテンの姿を見て、涙が出た。自分のMVPではなく、チームの優勝で泣いた。局面を打開する選手が、実はチームの感情に最も敏感だった。
来シーズンはAWCLというアジアの舞台が待つ。国際舞台で果たせなかった役割を、今度はクラブの代表として挑む。「やるべきことは目の前の試合に自分がいいパフォーマンスをするということ。一貫して変わらない。その結果ワールドカップに行くことは私の夢でもある」
アジアカップの悔しさで研がれた刃は、次のステージで何を切り拓くのか。
Photo Courtesy of ©WE LEAGUE
取材:Tomoyuki Nishikawa / SportsPressJP
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