日本サッカー協会(JFA)は理事会で、森保一監督が来年のAFCアジアカップまで日本代表の指揮を継続し、それ以降は大岩剛氏が新監督に就任する人事を承認した。記者会見には宮本恒靖会長、森保一監督、山本昌邦ナショナルチームダイレクターの3名が登壇し、質疑応答に応じた。
宮本恒靖会長
「森保監督に来年のアジアカップまで日本代表の指揮を執ってもらうこと、そしてそれ以降は大岩さんに新しい日本代表の監督として指揮を執ってもらうということが決まりました」と、会長はまず人事の骨子を説明した。続けて「このワールドカップが終わった今、我々として重要だと考えているのがアジアカップで優勝するということです」と述べ、直近の目標をアジアカップ優勝に置いていることを明らかにした。
「アジアで結果を出せる監督が誰なんだという観点を重要視しました」とし、森保監督続投の理由について「今見せてくれている予選でのアジアでの強さをアジアカップでも発揮してもらうことで優勝につなげたいと考えました」と語った。大岩氏については「アンダー21の代表の監督としてアジア大会を優勝してもらうこと、これを大事にしたいということで、年内はアンダー21のところに集中してもらいたいと考えました」と説明した。
森保監督との交渉経緯については、「3月頃、森保さんにはワールドカップまででお願いしたいということをお伝えしました」と、一度は契約終了の意向を伝えていたことを明らかにした。その後「アジアカップを勝つということが大切であるということを考えた時に」判断が変わったとし、「5月に森保さんにアジアカップまでやってもらう可能性はありますかというお話はお伝えしました」と、5月に再度打診し直した経緯を述べた。
外国人監督の検討についても言及し、「日本人にとどめない広い候補の中から選ぶ必要があると思ってそういった動きはしてきており、そういったリストを議論したこともあります」としたうえで、「日本が培ってきた組織力であったり我々が持つサッカーの力があるという時に」「継承を優先すべきではないかと考えました」と結論に至った理由を述べた。
大岩氏の五輪世代との兼任については、「予選があるという難しさは委員長からもお話があったように認識しています」としつつ、「それ以上のプラスがあるということで、若い選手とシニアの代表の選手たち両方グループで見られるというところ」を利点に挙げた。自身の経験にも触れ、「自分自身もトルシエの元でオリンピック代表当時とA代表をプレイしましたけれど、同じやり方でもって上に上がる時に何のストレスもなくやれたという自分自身の経験もそこにはあります」と語った。
助言者として西野朗氏に相談していたことも認め、「2018年のロシアワールドカップの際になぜ自分が森保監督さんをその時バトンを繋ごうと思ったのかというようなお話であったり、大岩監督のチームに対する話し合いであったり」を「山本技術委員長を含め話はしました」と明らかにした。
ワールドカップの結果については、「ラウンド32という結果はやはり我々が目指していたものではないので、もう少し先に行きたかったというところです」と振り返った。次の目標について問われると、「今後は今回のベスト8に入ったチームよりも良い数字が出るようなところを目指していく」とし、「前回のワールドカップでお話ししていたのがベスト8だったと思っていますので、そこを1つの目処に考えています」と述べた。2030年までにベスト4を目指すとした2005年の宣言については、「参加国数も増えて、そういったところの修正は必要だとは今の時点では思っています」と修正の可能性に言及した。
山本氏が技術委員長とナショナルチームダイレクターを兼任している点については、「早いタイミングでその兼任を解消できるようにしたいという考えは持っていますが、なかなかそこに関してうまくいっていないというのが正直なところです」と述べた。
森保一監督
契約延長のオファーについて、「この度の契約延長のオファーをいただき、私自身本当にありがたいと思っております」と述べ、「やらなければいけないミッションを考えると身の引き締まる思いでいます」と語った。
契約期間の長短については、「4年であれ、2年であれ、1年であれ、半年であれ、私自身は2050年までに日本がワールドカップで優勝するという川淵さんが行われた宣言の中で、これまでも自分がやるべきことを自分の与えられた契約期間、任期の中でやっていくということ」と述べ、「私自身は雇う側と雇われる側がシンプルな答えだと思っています」との考えを示した。
短期契約でのモチベーションについて問われると、「その先はどんな結果を出しても繋がらないということでモチベーションが左右されるかというと全くそういうことはない」と否定し、「1試合1試合、1回1回の活動で悔いのないように」全力を尽くすと語った。ワールドカップでの結果に「もちろん結果で言うと、もっと上に行きたかったという結果はありますので、その悔しさというところはあります」としつつも、「やり残したことかというとそうではないと思っています」と述べた。
大岩氏が最大13試合を経験できなくなる問題については、「私が新監督から13試合を奪うということになるかもしれず、新体制に向けて13試合を失うということも考えました」と自ら言及した。そのうえで「チームを崩してアジアカップを戦うよりも、アジアカップまで継続でいくことがより勝つ可能性が高くなるんじゃないのかということで判断をされて、そこが終わりということで私自身判断しました」と説明し、「自分の中でも整理をつけてこのアジアカップまでということで引き受けさせていただきました」と述べた。
宮本会長が3月に一度契約終了の意向を伝えていたことが会見内で明らかにされた際には、「宮本会長は3月にワールドカップ以降の契約はないという話をしてくれた」としたうえで、「宮本会長が本当にまっすぐ向き合ってくれて、勇気を出してその時の思いを言ってもらえたことをありがたく思っています」と述べ、「会長と監督の関係ですが、人として本当に向き合ってもらえて」と語った。
大岩氏への継承内容を問われると、「特に具体的なものはないと思います」とし、「日本が世界で勝つために、世界一になるためにこれまでこうやってきたことを成果と課題を監督なりに抽出していただいて、そこでまた未来への積み上げにしてもらえればと思っています」と述べた。選手選考への大岩氏の意見反映については、「コミュニケーションは取りたいと思いますが、最終的には私の判断で決めたいと思っています」と述べた。
アジアカップに向けた選考方針については、「一つ言えることはその時のベストだと思っています」とし、「過去と今と未来をつなぎ合わせて、今のベスト、勝負にこだわる、日本のサッカーの発展につながるということを、難しいですがその判断のもと選手選考してチームを編成していきたいと思っています」と語った。
帰国後のメディア対応で「申し訳ない」との発言が目立たなかった点を問われると、「申し訳ないという気持ちは持ってます」としたうえで、「『ありがとうございます』には全てが入っていると思っております」と述べた。
山本昌邦ナショナルチームダイレクター
森保体制での成長について、「ランキングも、森保監督が最初に引き受けていただいた2018年は50位以下でした。そこから2022年に20位、そして今年、17位までランキングを上昇させていただきました」とデータを示し、「私たちに必要なことはゼロから作り直すことではありません」と継続路線の妥当性を説明した。継承の内容については「これまで培ってきた経験、情報、信頼関係、A代表とアンダーカテゴリーの連続性を継承しながら、さらにその先へ進むことだと思っています」と述べた。
大岩氏の適性については、「アンダーカテゴリーからの育成と強化、世代交代への取り組み、国際大会での経験、そして日本サッカーへの理解」を挙げ、「大岩監督が今回掲げるこの方針を体現できる人物であると決断しました」と述べた。
ワールドカップでの結果については、「結果としてベスト32に終わりました。その点に関しては本当に真摯に受け止めています」としながらも、「その評価は結果だけではありません」とし、「特に守備面について世界トップレベルの相手にも十分に対抗できるように整えてもらいましたし、また代表チームでの組織マネジメントも非常に優れていた」と評価した。
大岩氏の五輪世代との兼任の難しさについては、「そんな簡単な道ではありません」としつつ、2002年ワールドカップ世代の育成を例に「たった3年で同じ監督のもとしっかりと鍛え上げてワールドカップの舞台に3年で育て上げた」実績を挙げ、「できないことを探すより、どうやったらやれるかを必死になって考えていきたいと思っています」と述べた。日程面の厳しさについても「シドニー五輪の本番とアジアカップレバノン大会、1週間10日程度しか隙間がなかった」中で結果を出した過去の事例に触れた。
継承の意味については、「我々が言うその継承や継続は戦術をそのまま引き継ぐという意味ではない」と説明し、「私たちが継承したいのはむしろ日本代表の組織や文化、強化の考え方です」と述べた。そのうえで「大岩監督には大岩監督の色を出して欲しいと思っています」とし、「継承と進化は、土台は継承するが戦術やチーム作りは進化させていく」との考えを示した。
スタッフ体制については、「大岩監督のチームはもうずっと積み上げて動いてきているので、このアジア大会があり活動は継続していく」とし、森保監督のコーチングスタッフについては「今、面談を私の方で進めているところです」と述べ、調整が継続中であることを明らかにした。
Photo by Junko Sato / SportsPressJP
Courtesy of Kyodo News / JFA press conference
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