「もっといいディフェンスをしないといけない」。マクダニエルズが監督の指摘を"起爆剤"と呼んだ理由

神戸でのプレシーズン初戦となった千葉ジェッツ戦を終えた後、28歳のマクダニエルズはチームメイト全員の前で、名指しの要求を受けた。


「君はもっといいディフェンスをしないといけない」

NBA通算252試合。シャーロット・ホーネッツ、フィラデルフィア・セブンティシクサーズ、トロント・ラプターズ、ワシントン・ウィザーズと、4つのNBAクラブでプレーしてきた選手への、率直な指摘だった。


キャリアのある選手に対しても、川辺HCは遠慮しなかった。マクダニエルズ自身も、過去にはエースや主力選手に対して言うべきことを言わないコーチがいたと振り返る。だからこそ、神戸で受けた率直な指摘を高く評価した。


「1つ凄い良いと思っているのは、同じ基準を全ての選手に持っているということ。全員に均等に、言うべきことを言うコーチだっていうのは素晴らしいと思う」


起爆剤"と呼んだ理由

指摘を受けた翌日、マクダニエルズはレバンガ北海道戦に臨んだ。本人にとって、その言葉は前日の反省を引きずるものではなく、気持ちを切り替えるための起爆剤になっていた。

「自分にしっかり言ってくれたことに対してリスペクトを持てるし、自分にとって起爆剤になって、『今日はもっと頑張ろう』と思うことができた」

GMが見た「負けず嫌い」

この反応は、偶然ではない。獲得の判断そのものが、マクダニエルズの負けず嫌いな性格を見込んでのものだったと、九里大和GMは明かす。リクルート段階では、まず映像でフルゲームを何試合か確認する。GMが注目したのは、マッチアップした選手にスコアされた後の反応だった。「自分のマッチアップしている選手にスコアされたら、絶対に次のプレイで彼がスコアしに行くし、その次のディフェンスでは絶対にそいつを守ろうとしに行く」

面談でも、あえてプライドを刺激するような質問を投げたという。「本人は大人なのでスマートに返しましたけど、そこに対して自分のプライドというか、そこは譲れないという強い気持ちが伝わってきた」 GMが「ラストピース」と呼ぶ理由は、実績の数字ではなく、この負けず嫌いな気質にあった。


「日本文化とも通じるものがある」

この規律への向き合い方は、マクダニエルズ自身が語る自分のルーツとも重なる。「自分はすごい規律のもとで育てられました。『まずやることをやりなさい』『ゴミは捨てるところに捨てなさい、綺麗にしなさい』という風に育てられた」

来日してまだ日が浅いが、街の様子にもその感覚と重なるものを見ているという。

「毎日体育館に行くが、もちろん行きたくない日もあって。それでも行かなければいけない。そういう日本文化の規律だったり、やるべきことをやるっていう文化は通じるものがある」


FIBA適応という次の壁

規律を重んじる姿勢の一方で、コート上ではまだ戸惑いも残る。ディフェンス3秒がなくペイント内に居座られること、コートの狭さゆえにヘルプが速いこと。

「最初の練習で自分はずっとペイントの外に出ようとしていたら、『中にずっといていい』と言われて、それはすごく衝撃を受けた」


だが、その戸惑いも含めて、マクダニエルズは受け止めている。川辺HCから飛んできた率直な指摘と同じように、新しい環境が求めてくることに、まず正面から応じる姿勢がある。少なくとも神戸での最初のプレシーズンを通じて、マクダニエルズは指摘されたら、そこから自分を奮い立たせるタイプであることは見えてきた。ディフェンス3秒のないペイント。NBAとは違うスペーシング。より早く寄ってくるヘルプ。神戸での挑戦は、まだ始まったばかりだ。

B.PREMIER元年。神戸の「ラストピース」は完成品としてやって来たのではない。新しい環境の中で、指摘を受け、学び、そのたびに自分を燃やしながら完成に近づいていく。


Reported by Tomoyuki Nishikawa / SportsPressJP 

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