森保ジャパン、W杯後初陣へ 継続と刷新のはざまで選んだ31人

森保一監督率いるサムライブルーが、9月のキリンチャレンジカップ2026(対ウルグアイ、対ベネズエラ)とキリンカップサッカー2026(対エクアドル、対パナマ/ニュージーランド)に臨むメンバーを発表した。会見には山本昌邦ナショナルチームダイレクターと森保一監督が登壇した。

■ 4試合という「贅沢」の意味

今回の強化最大の特徴は、FIFAの国際ウィークのルール変更により従来の2試合から4試合の強化が可能になったことだ。山本ダイレクターはこの変化を歓迎する。

「ゲームとそのフィードバックでチームを修正していく上で、選手のコンディションを考えても有意義な4試合になる。特に後半のカップ戦でタイトルのかかった試合ができることは、アジアカップに向けた準備として有効に活用したい」

森保監督もまず、W杯での後押しへの謝意から会見を切り出した。

「たくさんのサポーターの皆さん、国民の皆さんに応援していただき、共闘していただいた。改めてお礼を申し上げたい。強豪チームを招いていただき、新たな積み上げに向けて素晴らしい強化の場を作っていただいた」

体制交代が既定路線となっている中、指揮官は自らその先を見据えた発言も口にした。

「体制は変わるが、日本サッカーの勝利と発展のためという志は誰がやっても同じだ。アジアカップに向けていい形で次にバトンタッチできるように、スタッフ・選手と一丸となってまずは目の前の勝利に全力を尽くしたい」


■ 「解体より継続」――選考の基本思想

今回のメンバー編成で最も重視した点を問われた森保監督は、「全てが含まれている」としたうえで、継続路線を選んだ理由を丁寧に説明した。

「ワールドカップから約2カ月ということで、そこから実力が大きく変わることはない。チームを一度解体して新しいチームを作り直すよりも、継続路線で行った方がアジアカップに向けての積み上げと優勝の可能性が高いと理解している」

基本はW杯メンバーをベースにしつつ、そこに漏れた選手や今存在感を放つ選手を加えた構成だという。人数についても本音を明かした。

「できれば40人・50人集めてチーム編成をしたい気持ちもあったが、戦術の浸透と、選手が思い切ってプレーできることを優先してこの人数とした」

守備陣の若返りが不十分ではという指摘には、選考過程の透明性を強調する形で応じた。Jリーグと海外組をコーチ陣と現地・映像で洗い出し、W杯までの3バックに加えて状況次第で4バックも可変できる布陣を想定。そのうえで「南米の強豪と戦える基準の選手かどうか」を最終フィルターにしたという。


■ 新戦力たちへの評価――熱量の差が出た部分

初招集・再招集組への言葉には、選手ごとに温度差があった。

最も具体的だったのは谷村海那への評価だ。同世代の小川航基の名前も挙げつつ、明確な理由を語った。

「今Jリーグで一番点を取っている選手ということで見させてもらった。点を取る過程で、チームの戦術の中でより多くの場面に関わりながら最後に点を取ることができる」

ポジションの汎用性を買われたのが中野就斗だ。「ウイングバックもできるし4バックのサイドバックもできる」と、複数ポジションでの戦力性を評価した。

松木玖生にはハードワークとゴール前の仕事ぶりを、齋藤俊輔には今シーズンの成長曲線を評価しつつ、「守備や攻守に関わる部分はさらに上げてほしい」と数少ない課題への言及もあった。

再招集の田中聡にはドイツでの実績、復帰した熊坂光希には怪我からの道のりへの労いを添えた形で、「代表活動中にさせてしまった怪我」というくだりには、他の選手評にはない当事者意識がにじんだ。


■ 世代交代のリアル――18~20歳で欧州へ渡る時代

98年・2000年生まれの選手が目立ち、選考基準が変わったのではという質問には、育成環境の構造変化を背景に説明した。

「18歳から国際移籍が可能な中で若い選手はほぼ18〜20歳前後で海外に渡っている現状があるので、国内の育成で育てられた選手がヨーロッパに渡って、そこから選ぶというメンバー選考になっている」

アンダー世代との兼ね合いについても、大岩監督との情報共有を明かしつつ「最終的に決めるのは自分だ」と選考権の所在を明言した。


■ スタッフ体制とチームマネジメント

コーチングスタッフは基本続投としつつ、役割は一部入れ替えた。守備のオープンプレーを長谷部コーチへ、前田コーチが担っていた攻撃のセットプレーを中村俊輔コーチへ、という具合だ。

キャプテンは未定。板倉滉の続投も含めて「これから召集して選手たちの様子を見て決めていきたい」とし、全員がキャプテン意識を持つことを求めた。

31人という規模については、「26人ベンチに入れて毎回5人のメンバー外が出る計算」と数字で説明し、メンバー外になる選手へのコミュニケーションの重要性にも触れた。


■ 若手起用は「バトンタッチのためだけではない」

最後に若手起用の方針を問われると、選考の難しさを認めつつ、軸は崩さなかった。

「期待枠・育成枠だけで使っている選手はいないということだ。親善試合でしっかり結果を出しながら、レギュラー組と拮抗してきたら思い切って若手の起用をするトライはしていきたい」

そして、この4試合を単なる「引き継ぎ期間」とは位置づけない姿勢を強調して会見を締めくくった。

「次にバトンタッチするためだけの活動ではないと思っている。目の前の勝利のために戦っていく軸を持ちながら、その中で戦術的・選手起用のチャレンジをしていきたい」

Reported by Tomoyuki Nishikawa / SportsPressJP