2026年3月8日、愛知県名古屋市で名古屋ウィメンズマラソン2026が開催された。当日は晴天ながら、15キロ地点で風速7メートル、20キロ地点では9メートルの強烈な向かい風が吹き荒れる過酷なコンディションとなった。男性ペースメーカーを置かない女子単独レースにおいて、田中希実(PACE1)、イソベル・バットドイル(PACE2)、エバ・チェロノ(PACE3)の3名がペースメーカーを務め、世界基準のハイペースで集団を牽引した。
レースは序盤から、日本記録保持者の前田穂南や後に優勝争いを演じるシェイラ・チェプキルイ(ケニア)、アイナレム・デスタらが先頭集団を形成する展開となった。しかし、20キロ地点付近の暴風が選手たちの体力を奪い、集団は次第に絞られた。
この過酷な状況下で、積水化学の佐藤早也伽が驚異的な粘りを見せた。自己ベスト2時間17分29秒を誇る世界屈指の強豪チェプキルイに対し、佐藤は終盤まで一歩も引かないデッドヒートを展開。最後はわずか2秒差の2時間21分56秒で2位に入り、見事にMGC出場権を獲得した。佐藤はチェプキルイらと密集して風を避け、体力を温存する冷静な戦略を完遂し、強敵を土俵際まで追い詰めた。
強風の影響がなければ2時間20分の壁を突破していた可能性を指摘する識者も多く、世界と秒単位で競り合った佐藤の激走は、ロス五輪に向けた選考サバイバルの幕開けとして、タイム以上の価値を証明する結果となった。
Photo:Hiroshige Suzuki / SportsPressJP
TEXT:Tomoyuki Nishikawa
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