「ホーン後の奇跡、サントリー40-35で準決勝進出」

2026年5月23日、秩父宮ラグビー場。NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26プレーオフトーナメント準々決勝、東京サントリーサンゴリアス対リコーブラックラムズ東京の一戦は、ラグビーの魅力が凝縮された激闘となった。


前半、サンゴリアスは開始早々にチェスリン・コルビが先制トライを奪うと、尾崎泰雅、竹内柊平も続き、スピードある展開で主導権を握った。27-10で折り返し、このまま試合は決まるかと思われた。しかし後半、ブラックラムズは黙っていなかった。パディー・ライアンとアマト・ファカタヴァの投入を機に猛反撃を開始。メイン平の連続トライ、大西将史のトライで1点差まで詰め寄ると、後半38分には中楠一期がペナルティゴールを沈め、35-33と逆転に成功した。


このままノーサイドかと思われた後半40分、運命が動いた。ホーンが鳴り響いた後、ブラックラムズが狙ったペナルティゴールが外れる。インゴールでボールを捕球した松島幸太朗からサンゴリアスの反撃が始まった。ペナルティを得て敵陣深くに攻め込み、最後は福田健太からのパスを受けた森川由起乙が執念の逆転サヨナラトライを決めた。40-35。劇的な幕切れだった。


小野晃征ヘッドコーチは試合をこう振り返った。「今日はチームのスピリッツが見えた試合だった。プライドとリスペクト、そして最後にはネバーギブアップという気持ちを背負った15人が、チームの58人の思いを背負ってプレーしてくれた」。後半にブラックラムズのフィジカルなボールキャリーとセットピースで主導権を奪われた点については、「自分たちに矢印を向けて準決勝への準備をしたい」と率直に語った。


流大ゲームキャプテンは後半の苦しい時間帯を包み隠さず明かした。「正直、最後は負けてしまうのではないかとよぎった瞬間もあった。ただ、グラウンドに出ていた15人がネバーギブアップを体現してくれた」。相手がペナルティゴールを選択した瞬間については、「勝てるチャンスが数パーセント来たかなと感じた。ショートやキックが外れた場合に備えることしかできなかったが、相手の選択は尊重する」と冷静に振り返った。


土壇場の逆転劇については、松島幸太朗やケイレブ・トラスクを中心としたグラウンドの判断と遂行力を称えた。「ゴール前でペナルティのアドバンテージを取り、3点を狙う可能性もあったが、最後までトライに行けたのはサントリーらしいラグビーだった」。


引退を表明している流は、この勝利で現役生活が2試合延びた。「もう自分が思い残すことはなく、あとはチームを勝たせることだけが自分の使命だ。次の試合に勝つ、それだけを考えて臨む」。


準決勝の相手はレギュラーシーズン1位のコベルコ神戸スティーラーズ。小野ヘッドコーチは「相手というよりも自分たちにフォーカスを当てる。神戸には思い入れのある選手も多いが、自分たちが今シーズンやってきたことをどれだけ精度高くやるかにこだわって準備したい」と語った。流も「チャレンジャーとしてしっかりいい準備をして、必ず勝ちに行きたい」と決意を語った。


プライドとネバーギブアップ。その言葉通りの試合だった。

写真:Atsuhiko Nakai / SportsPressJP 

文:Tomoyuki Nishikawa / SportsPressJP 


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